KOC2回戦の日の話

 

FamilyMartファミチキありますでしょ?あれエラい美味ですよね。時おり食べたくなりますよ全く。でね、今あれの辛いヤツがあるんですわレッドチリみたいなの。んで、それ食したのよ。したら、美味っしょ。なんか美味なヤツってあんま噛まずに飲みこんじゃいません?早く体内に取り入れたいというか。この美味なヤツと一体になりたいというか。ま、ま、僕はそうなんですわ。でね、大して噛まずに飲み込んだの。したらね、したらですよ、揚げたてだったもんでね、こう衣がサクサクサクッとしとるんですわ。でね、レッドチリっちゅうやっちゃ、この衣が辛いんですな。そのサクサクの辛い衣がですな、あんま咀嚼してないもんで、鋭利な箇所がありましてね、飲み込もうとした際に、口蓋垂の横、あ、口蓋垂ってのはのどちんこの事ですな。その口蓋垂の少し奥の左右に謎の窪みありますでしょ?その左側にトスと刺さりましてな、なんか知らんが激の痛なんですわ。ウククとなって取り外しますでしょ?血出てますわ。口の中が鉄というか、ま、ちょっと唾液と薄まってかしわ餅みたいな味がしました。で僕を刺した凶器は、レッドチリのような辛い感じですから香辛料というか刺激物というか、ま、端的に言えば毒ですな。衣が刺して体内に毒を注入してきた訳で、そんな感じで激の痛なんですな。


それが31日の出来事ですね。

 

8月1日。
キングオブコント2回戦なんですね。過去に準決勝まで行ったことある人は2回戦から。決勝まで行ったことある人は準々決勝からなんで、僕らはKOC2019はこの日が初陣な訳ですよ。

少しどきどきしながら起きると、喉が痛くって痛くってヤババな訳ですよ。幸い声に支障はなく、痛みによる不快感を我慢すればいい訳です。

会場は大井町にあるきゅりあんホールというところで、やさしい雨は入り時間の一時間前に駅ビルにあるスタバで待ち合わせ。
少し早く着き、冷コー頼んだらスコーンの欠片くれて、冷コー&スコーで涼んでいたら松崎君が来て、事前にLINEで、スコーンの欠片通称スコーくれるよ!って教えてあげたのに松崎君はドーナッツーを買ってて、なんて教えがいのない奴だと憤慨しましたね。

スタバでドーナッツーなんて吝嗇な松崎君には珍しい。美味?と聞くと美味だというので、じゃあその美味さを価格で割ったら、満足指数は1越えるの?と僕は意地悪く聞いた。


この美味さを価格で割って満足指数は1越えるのか?というのは、やさしい雨の中では飲食物を評価するときに当たり前に使われる会話で、元々はひねくれおじさんである、先輩のブラックパイナーSOSの山野さんが考案した美味の基準だ。
どういうことかと言うと、高いものは美味い。当たり前だ。しかし高さの割には…みたいな事も悲しいかな人生にはままある。逆に安いのにグンバツに美味なものもある。
そこでこの満足指数というのが出てくる。基準として、吉野家の牛丼を1として考えて、美味さや量などを価格で割って1を越えるか越えないかで判断するというものだ。

しかし吉野家の牛丼の1という基準は相当に優秀な数字でこれを越えるのは中々難しいのである。

そこでスタバのドーナッツーである。

僕は無料でスコーを手にいれたので数値の測定は不能ではあるが参考値として算出すると、少量ではあるがなんだかチョコのデカイ欠片が含まれた部分のスコーであるということ、無料、美人店員の笑顔、等を加味してなんと脅威の1.5をマーク。ま、これは通常あり得ない数値ではあるが、僕は相当満足していた。


しかし、松崎君は吝嗇である上に200円オーバーのドーナッツーを買っているのだ。ルックスは少々貧弱だった。なので僕は満足指数は低いと目算していたのだ。


すると松崎君は少し考えながら言った。

「…1は越えると思う」

俺は驚愕した。なぜなら0.97くらいを予想していたからだ。1を越えるだと!?
理由として松崎君があげたのは、確かに200円オーバーは高い。しかし、このドーナッツーは見た目より遥かに中身がぎっしりしてるのだと。そうだったのか!!しかし、松崎君はちょっと小腹が空いた、おやつ食べたい。しかし事前に入手していた情報である無料のスコーでは足りないという感覚で購買したので、こんなにぎっしりなのはマイナス査定ではあると。おやつではなく昼食レベルだと。なるほど。しかしそれを乗り越えて尚且つ1を越えるとはまさに驚愕のドーナッツーである。僕も今度食べてみようと思う。


席が空いてなかったので、窓際のカウンターにふたり並び外を見ながら台詞だけのネタ確認。時間等を確認。2回戦は2分だ。コントで2分はひとつのミスが命とりになる。ちゃんと練習しておきたいのだけれど、中々集中出来ない。というのも、窓際なので、外が見える。外には駅前のベンチみたいのがあって、そこはひとりがけだったのだけど、そこに、よたよたと歩いて来て座った女ホームレスがいて、その女ホームレスはなんか脚なんか組んだりして、どこか澄ましていて、外はあっついあっついのに変に気品があるというか、あれ?女ホームレスではないのか?でもまあ、よたよた歩いていたのと異常に汚い薄着だったので女ホームレスで間違いはないと僕は認識していた。
そんなことを思っていたら、申し訳ない、僕の勉強不足で存じ上げなかったのだが、おそらく芸人であろうと思われる二人組が先ほどから僕らの隣の隣くらいの席にいて、ネタ合わせをしていたので間違いなく芸人ではあって、彼らは入り時間になったのだろうか、先にスタバを出ていった。

外を僕らの前を通り過ぎようとした時、なんとその芸人だと思われる二人組が立ち止まり、女ホームレスに挨拶したのだ!!

これは驚いたね。女ホームレスも左手を少しあげ、まあまあいいよいいよ、みたいなリアクションしてるし。え!?アイツ芸人なの!?という驚きである。

二人組はやたらとぺこぺこしながら去っていった。
俺が驚いて松崎君の方を見ると、松崎君も驚いていて、上記のようなことを全く同時に思っていてコンビだなあ、と思いましたね。

ええ、やっぱ外から見ると芸人てあんな女ホームレスにしか見えないくらい汚ならしいのかなあ??と崇高なる愚問をぶつけると、松崎君は「ま、でも俺もホームレスかと思ったってよく言われるよ」と何でもない事のように少しの哀愁を込め前だけを向いて言った。でら格好良かった。


すると、女ホームレスなのかおばさん芸人なのかわからない女は立ち上がると、またよたよたした歩き方でどこかへ消えていった。謎だ。謎すぎる。しかし存在感は半端なかった。だって彼女が去ってしばらく経って、先ほど彼女が座っていた隣に赤と白のシマシマの三角コーンがあることに気付いたくらいだ。だって灰色のコンクリートばかりの街の外観の中でそんな三角コーンがひとつ用途も不明にあったら否が応にも目につく。それに気づかせないくらいの存在感があの女ホームレスにはあった。


そんな話をしていたら入り時間になってしまい会場へ。


地下に楽屋があるのだけど、芸人でごった返していて暑いのかと思いきや、冷房がぎゃんぎゃんに効いていて寒いくらいだった。しかも地下だし、これは勝手なイメージだけど黴臭い空気が蔓延していて、僕はただでさえ喉が痛いのに、さらにやられてしまった。

 


この後今でも痛いどんどん悪化する喉の話とか、楽屋で話した陰茎が銀銀になる薬についてとか、東京2日目の最後の3組、レインボー、やさしい雨、5GAPさんの間に生まれた絆の話とか、夜飲みいって帰ってからの話、朝そのまま行ったitomaでの話、2日のライブ後に食べた満足指数1.3を叩き出したゴーヤとベーコンのカレーの話とかしたかったんだけど、長くなったんで終わり。


次は8日か9日に準々決勝ですね。イッヤー楽しみッ