第7回夜の散歩報告書

Jump Hey 赤鼻パンク
ごきげんいかがかしら
Give Me キャンディーちょうだい
甘いものが好き!

 

これは僕が好きなバンドEGO-WRAPPIN'の『GO ACTION』の冒頭の歌詞だ。読んでもらったらわかるように、意味が全くわからない。全部通して読んでもよくわからない。しかしズンギャンギャンズンギャズンギャンギャン、GO ACTION!!の掛け声ではじまるイントロから強烈に照射されているこの曲の主題である「動きだす」というニュアンスは、この歌詞じゃないと到底表現出来ないというか、とにかく気持ちが随々と前に進んでいく不思議な曲だ。
僕はよくエイヤッ!と前に進む時にこの曲が頭の中で流れる。

 

 

さあ昨年の秋頃からはじめた夜の散歩も、早いものでもう7回目である。
世間では三連休の金曜日。夜は寒くもなく快晴。これは散歩日和だッッ!日程的に沢山の参加者が見込めるんじゃないだろうか。過去最大人数のパーティを組めるんじゃないだろうか!と開催。しかし。
先に結論を言っておくと今回の散歩が最もcrazy且つstickな散歩だった。最終的に横浜の元町・中華街駅から川崎駅まで歩くことになるのだから。

 

 

昼、散歩をしようと決意するもルートとか特に思いつかずTwitterでルートの募集をかけるとここどうですか?と教えてくれた方がいて、素敵なコースだったけど前回と少し被るのでまた後日にし、何だか夕方になるにつれ気分は海方面がいいなと思い、今回は東急東横線みなとみらい線直通の終点、元町・中華街駅に24時に集合。山下公園から海沿いを北上していこうというルートにした。

別にゴールは決めていなかったけれど僕の中では何となくあって、横浜駅までが5kmないくらいだったので短いけれども、タラタラ歩いてフラフラ寄り道していけば、何だかんだで朝になっているんじゃないかと思っていた。

 

ということで誰も来なかった場合に備え、いつものように太郎ちゃんに「今日も散歩しようと思っているけど?」とLINEすると「今日もバイトですね」とにべもなく断られション。

昨日買った口に合わないワインとムシパンや揚げた豆、ビスケットの欠片をポケットにつめて家を出る。
実家がそっちの方で昔はよく行った場所も、現住所からだと電車で片道700円もかかる贅沢散歩となってしまった。
電車に乗っている時、23時30分頃に急に母からLINEで画像が送られてきた。なんだぁ?と思い開いて見ると母親の自撮りで、女子中高生がやるようなウサギの耳と鼻とひげの加工みたいのがされた写真だった。ちなみに母親は69歳である。意味が全くわからず「なんだあテメー」と送ると「間違えて画像を加工してたら送ってしまいました」と返信。
まず何の為に自撮り画像を加工しているのか謎だし、つうか自撮り自体を何故してるんだという謎。次に、その加工した画像を一体誰に送ろうとしていたのだろうかこんな時間にという謎。
母は続けて「まあ、でも消去しました。お手数かけました」みたいな事を言っているけど、それはこちらが既読をつけたあとだと消去されるのは自分のLINE画面からだけだと言うのを知らない様子で、わかりましたと返信して僕は母親の恥ずかしい画像を確り保存した。姉や伯母さんにあったときに見せてやろうと思っている。

 

 

そんなこんなで元町・中華街駅に23時50分頃着。人が全然いない。
少しウンコがしたくなったけれど、僕が待ち合わせ場所に指定した中華街、山下公園口の改札の方のトイレが改修工事中で使えなかった。ウンコ出来ないじゃんとソワソワしてると前方から見覚えのあるちゃん姉が寄ってきて、何だ逆ナンか?と逆説的に思っていると参加者でなんとddt(仮名)であった。未読の方は12月15日更新分の『第3回夜の散歩報告書』もどうぞ。ddtは長かった髪をバッサリと切っていて見覚えがあるのに他の方と間違えてしまった。
第3回といえば、散歩史上最も寒かった日で半身が凍りつきゆっくりお湯をかける等の解凍作業が必要だった回であり、尚且つ、富士の樹海の次に遭難者が多いと噂される下高井戸大迷宮にて迷子になり途方もなく歩き回り正確な数字はわからないものの散歩史上最長距離を歩いた回だ。

とにかく過酷な回だった。それ以降、腹痛ケットC(仮名)とは音信不通である。死んだと思う。くらい過酷な回に参加したddtが女性初のリピーターとなったのであるハハハ。そう、紛れもない狂人である。


24時10分まで待ってみるも誰も来ず出発。世は三連休と聞いたけれど、僕のTwitterの告知を見かけるような人はすべからくベンタブラック企業に勤めているらしい。究極の黒色だ。最多人数のパーティが組めると思った日程はサシ散歩となった。


駅に設置された地図を見ると進行方向ではないけれど、近場に外国人墓地港の見える丘公園がありそっちの方へ行ってみる。

外国人墓地も夜に訪れると怖いのだろうか?
日本の墓地は夜うろうろしてると何となく怖いのだけれども、外国人墓地って、何か白い石というか、何か洒落ていて洗練されてるイメージがあるので夜でも怖くないんじゃないだろうか?等と愚考するのです。
着いてみると中には入れなかったけれど柵の隙間から中の様子が伺えて、何か思っていたより西洋風ではなくて、ひとつひとつの間隔も狭く日本ぽいというか、墓石もなんか背が低いイメージだったのに割りと高くて日本感があり、日本感があるということは割りと不気味というか、何ならどうなの?外国人墓地なら土葬なの?日本は火葬で粉にしちゃうけど、これそのまま埋まってんの?そしたら尚怖いというか、ま、とにかく足早にそこを立ち去った。


しばらく歩くと港の見える丘公園で、中に入ろうとしたら夕方に閉園するらしく、その縁というか、周りをぐるりとして山下公園の方に向かうおうと思っていると、そこも充分に丘というか高台で見晴らしが良かった。
僕は視力も悪く鳥目なので夜目が利かないのだけれど、ddtは視力も良く夜目が利くのですぐに人を発見する。あ、人いました。どこどこ?という会話を昨晩は100回くらいした気がする。あ、人いる!の言い方が何か怖くて、あ、人いる!と言われる度に俺はビクッとなった。
ということは深夜なのにそれくらい人がいる訳で、沢山の人が散歩していた。もしかして夜の散歩流行ってる?

 


山下公園に着くとすぐ、まだ若い感じの野良猫がいて、人に馴れている感じでナーナーないていた。僕は先ほど小腹が空いてムシパンを食べてしまい、あげるものが揚げた豆とビスケットの欠片しかなくて、こんなものは野良猫は食べない。
するとddtがジャッキーカルパスがあるというので、歯で千切り小さくして投げるとナーナー言いながら食べた。
その様子をチラ見していたおばさんとおじさんがいて、なんとおじさんその場で小さな魚を釣り上げて、おばさんがその魚を野良猫にあげると、目にも止まらぬ速さで咥えたままどっかに消えていった。
やはり魚が良かったのか。仕方なくジャッキーカルパスを食べていたのか…。それにしてもその場で魚を釣り上げてあげるなんて凄い。つか釣竿もってんのかい。そこに驚きではあるけれど、この後結構釣りをしている人を見かけるので、そういうスポットなのかもしれない。

そのまま山下公園を海沿いにあるいていると、道路を挟んでオフィスというか建物が沢山建っているのだけれど、あまり明かりは灯っておらず暗い街をゆく。
海のそばで黙ると波の音と時おりギャースと鳴く鳥の声しか聞こえない。他の人の話し声がボソボソ聞こえてくることもあって、一度、左斜め前からギャルの笑い声が聞こえてきて、あギャルいるなと思った。すると今度は右の方からギャルの話声が聞こえてきて、こっちにもギャルが!と驚いていると左からも。しかも少なく見積もって三人はいる。姿は見えないけれどどうやらギャルに囲まれたッ!と焦る。ギャルに囲まれて良いことなどひとつもない。投網のようにギャルが散らばり徐々に真ん中に収斂していってギャルに狩られてしまう。僕らはグイとガソリン(酒精)をチャージして高速離脱。無事ギャル達に狩られずに済んだ。何だ?ギャルの間で夜の散歩流行ってるのか?

 


その辺で赤レンガ倉庫の辺りだった。いつもライトアップされていて綺麗な印象があったけれど漆黒。2つの赤レンガ倉庫の真ん中に遠目に信じられないくらい大きいAPAホテルがあり要塞のようだった。
あんなに大きなAPAホテル見たことなかった。HUNTER×HUNTERの天空闘技場のように聳えていた。


そのままつらつらと歩き、大観覧車や桜木町を通りすぎサササと歩いていくと人の姿も疎らになり、街の明かりも乏しく、通るのはたまにトラックみたいな感じになってきた。
途中、歩道橋を渡ろうと思い階段を登り、踊場で折り返すと目の前に警官がふたりいきなり立っていて驚いた。
足音が全くしなかったのだ。彼らは階段を降りて来たわけで、俺らは登っていて、彼らは俺らの話し声が聞こえていたにも関わらず、俺が振り返ったらいる!みたいな距離感まで接近していた訳で、不気味。ぶつかりそうになってもふたりとも何も言わないし、目も合わせてこなくて虚ろ。表情も乏しく涎もだらだら垂れていてゾンビの様だった。怖かった。

その歩道橋を渡りしばらく進むともう横浜駅で、時刻は一時半くらいだった。帰るには早い!早すぎる!やはりサシ散歩だと自然歩くスピードが早くなるのか?結構寄り道をしたつもりだったけれどまだこんな時間だった。

ならこのまま東京の方に向かって歩いていこうと決定。しかし。
京急線沿いで横浜から川崎でも、東横線沿いを歩き横浜から武蔵小杉でも、途中山があるはず。山というか丘というか。そこを乗り越えて行くのは正直散歩の範疇を越えているのではないだろうかしんどくて。駅で地図を確認すると、絵が、山の方が茶色くて山感が凄く、丘の感じを越えて山感の凄い絵でビビる。

 

まあ駅からそう離れず山が現れる感じだったので、とりあえずそこらへんまで行ってみて、山感が凄かったら横浜まで引き返してきて始発を待とうという結論に。
さあこの辺から俺の頭の中ではGO ACTIONが鳴りはじめる。ズンギャンギャンズンギャズンギャンギャン、GO ACTION!!

道路は舗装されているのでコンクリートの坂道をしばらく歩いていくと、丘感はあるものの危惧していた山感はなく、あれ?これ行けんじゃね?と思う。チラと横を見るとddtも同様に、あれ?これ行けんじゃね?という顔をしていた。流石過酷な散歩を経てリピーターになっただけある。つうか普通は男の方が歩くの早いけどddtは結構さっさ進む。早い。意識して早歩きしないといけないくらいだった。
ひたすら真っ直ぐに進んでいくと、気がつけばそういえばずっと緩い坂道を登ってきたんだなあと思うくらいずっと坂道だった事に気づく。なぜなら頭上を高速道路でしか見ないような車が通れる橋がかかっていたりして、山感が出てきた。しかし引き返すにはもう進み過ぎていて、そこで、あたょつつつと思っていると、危機感が募り、危機感が募ると、あ俺そういえばウンコしたかったんじゃん!と思い出して焦燥。暗い道がしばらく続きコンビニエンスストアーもない感じ。ひたすら道路を真っ直ぐなんで特にTOPIXもない。

途中絶対に飲みたくない湧き水があったくらいだ。

ひたすら歩く。アルクアラウンド。この時一応ルートを調べると川崎まで10㎞、武蔵小杉だと13㎞くらいあって、二人ともそこまでは歩かないだろうと笑っていた。始発くらいまで歩いて、その時の最寄り駅で電車に乗ろうと。そう最初は冗談にもなっていなかったのだ。
そして歩く。アルクアラウンド。
ずっと会話はしていたんだけど、何の話をしたのか全く覚えてねえな。昨日は口に合わないワインを持っていったのであまり飲んでいなくて酔っていなかったのに、普段の散歩より会話を覚えていない。

足が痛くなってきて、すると気づけばそこは鶴見だった。時刻は4時20分頃。鶴見といえばもうすぐ川崎だ。始発にはまだ早い。ということで、川崎まで行っちゃうか!と ズンギャンギャンズンギャズンギャンギャンズンギャンギャンズンギャズンギャンギャンズンギャンギャンズンギャズンギャンギャン、GO ACTION!!

 

 

 


そして空が明るくなった5時ちょっと過ぎに川崎に着きfinish。足が篦棒にベラベラで足裏も痛みのみ。信号などで少し立ち止まると意思とは裏腹に脚が稼働しない。みたいな状態。


何やってんだ三連休に。こんな過酷な散歩するつもりなかった。俺はまだいい。ddtは真の狂人だ。またー!と言って別れたのでまた来そう。恐ろしい。いつ来るか分からないが、もしこのブログの読者、そう!あなたが夜の散歩に参加しようと思って来て、そこにddtがいたならばそれは過酷な回になることは間違いないので覚悟を決めてくれ!jungle beatで踊り明かそう。

 

 

さ、3月は暇になっちゃったのでもう一回くらいするかも。ドシドシ来てね。次は楽な散歩にしよ。