第3回夜の散歩中止報告書

好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ

 

これは僕の好きな音楽家椎名林檎の『月に負け犬』の冒頭の歌詞なんだけど、僕はこの一文をことある毎に思い出しては、や、凄い!exactly!と感嘆してしまう。

 

さて、夜の散歩の3回目である。今回もメンバーを当日に募集。しかし誰ひとり集まらず散歩は中止。

 


ちょちょちょちょちょ。

 

ちょちょちょちょちょちょ。
ちょちょ。ちょ、ちょ、ちょちょちょちょちょちょ!


イッヤー寂しいッ。これは寂しいですよッ。なんて人の気の無さだッ。嘆かわしいねッ。
「や、だったら事前に日時を決めて募集したら?」と、ごもっともな声も聞こえてきそうですが、そんな声も起きないくらいの人の気の無さ。亡さ。
でもまあ一応架空の声に反論しておくと。や、一週間前とかにちゃんと日時を決めてさ、そんでさ、募集してさ、それでさ、誰も来なかったらどうすんのさッ!?君ィさ!今はさ当日にさ急にさ、決めてるからさ、ま、ま、ま、ま、人集まらないこともあるよねーとギリギリ言い訳出来てるのにさ、正式にさイベントのさ、感じ出してさッ、人がさッッ、集まらなかったらどぼじでぐれんの!?言い訳できないびゃん!!夜が身体の中に入ってきちゃうりゃん!!


てなもんである。


言っておくけどYJは猫だから。ひとりで大丈夫みたいな、群れるの嫌ですみたいな澄ました顔して、滅茶寂しがりだし苦茶構って欲しいし無茶繊細だし苦茶臆病だからね。猫なのよ猫。猫状の犬なのよ。どっちよ。

 

ま、だからそんな僕であるからして、昨日散歩のメンバーが集まらなかったから拗ねて、拗ねに拗ね結局、散歩しましたよ。


昨日の夜。今度僕お芝居に出るのですが、そのエンニュイの練習が終わり(エンニュイについては後日ちゃんとブログを書く)スマホを見ると誰ぞひとり集まっておらずガビン。練習の後散歩するんだ!とウキウキで温かい格好してきたのに震えが止まらない。ガビンを誤魔化す為(自分の精神に向けて)に僕は、エンニュイはこの日が初フルメンバーでの練習だったので主宰の長谷川さんに言う感じでみんなに聞こえる声の大きさで、メーシークーイーイークー?と一瞬業界用語に聞こえるけどその実、単に伸ばし棒をいちいち挟んだだけの冗長な誘い文句で飯に誘う。

すると他のメンバーもまあまあ行く感じになり、長谷川さんがじゃあ軽く飲みながらという感じになったので、散歩中止の言い訳(自分の精神に向けて)もバッチリである。
そうなるとお店ですが恵比寿。前にも連れていってもらった青森は八戸を彷彿させる居酒屋があるのでそこに向かうも、時刻は23時近くもうすぐ店閉めちゃうとのこと。すると近くて遠目に恵比寿らしくない安い鳥のチェーン店があり、そこに向かうとビルの階段を降りて地下に行けばその店で、階段をあがるとお魚が美味そうな店があり、どちらにするか多数決で階段を上がることに。この店がとても良かった。イキフンも味もバッチリでいい店知っちゃいましたね。
店を出ると、いっぱいひっかけて上機嫌の僕はもう渋谷までは歩こうかナーなんて気分になっており、長谷川さんを誘うといーよーと言われたので歩くことに。恵比寿駅前で他のメンバーとはさよなら。
ついこの間も、恵比寿から渋谷まで歩き原宿を通過して初台までいって長谷川さんの家の前のバーで飲み、そのまま東高円寺まで歩いたことがある。
本日もそのルートかなと思ったら、初台いくならこっちの道なんだよねと長谷川さんがこの間とは逆の方向へ歩きはじめた。そしたら急に、あ、あッ!あーッ!見て見て見て見て見て!と今日イチのテンションで騒ぎだしたので、指差した方を注視しても何のこっちゃあわからない。尚も長谷川さんは、あ、あ、あーッ行っちゃった行っちゃった行っちゃったと言い誰かを追いかけようとしたので、シラーとした顔で見てると僕が追う気がないのに気付いて戻ってきた。何だったのか聞くと、この間下北沢で会ったあの美容師の人だった!と興奮気味。


おおお。


あの美容師とは。以前、長谷川さん等と飲んで飲んで、やがて下北沢の町をふらふらと歩きヴィレッジヴァンガードの前の階段に朝方座っていた時の事である。
目の前のビルからベロベロに酔っ払ったおっさんと全然酔ってない感じのおっさんの二人組が降りてきて、ベロべラーが僕らの隣に座り話しかけてきた。話の流れで彼が美容師という事を知り、僕らがお笑いやってるんですよというと、関西出身ぽい彼の何かのスイッチが入りズボンを脱ぎ始めてお尻を丸出しにしてフリフリし、僕もオモロイことやれるんですわー!と叫びだした。お笑いストリートファイターである。
その後基本尻を丸出しにして踊るというのを一時間くらいやってくれて、そんな彼は確かに恵比寿で美容師をやっていると言っていた気がする。


その美容師がいた!いた!いた!と長谷川さんがはしゃいでいたのである。しかし、彼はその時の彼ではなく、なんかチェーンをくるくる回しながら我が物顔で恵比寿の街を闊歩していたらしく、俺等の知ってる彼ではなくなってしまっていたらしい。東京は怖い街である。彼は東京に染まってしまった。俺等より歳上だったけど。

 

そんなすれ違いを経て歩いていると通りは閑静な感じになってきてコンビニエンスなストアーでお酒を買いたかったのに中々なく、暫く歩くとあのエグいお洒落な蔦谷書店がありそこは2時までやっていて、トイレを借り借りウロウロしていたら、コンビニエンスなストアーも併設されていてそこでお酒を買う。


僕がワインの棚を眺めていると、一時を過ぎたこんな時間なのに金持ちっぽい上品な老夫婦がいて、奥様が旦那様のことを「あなた。ねえ、あなた」と艶っぽく呼んでいて「ほら、ニュージーランドのワインで『ハカ』だって。ハカっていうのあるのよ」とか言って笑って旦那様は「んふふ。なにそれー」みたいな感じで、うッわー素敵だ!と思った。コンビニを出ると目の前は、古い建物を中はリノベされてて苦茶お洒落みたいなマンションで、さっきの老夫婦はここの住人だろうか。しかし素敵だったな。


ワイン瓶片手にいつものスタイルで道を歩いていると、なんだか街がずっとお洒落で、でも見覚えある感じの街並みであーここらは代官山かと納得。昔々、僕もちゃんと服装に気を使っていた時代があり、いつも代官山で服を買っていた。

えらくお洒落な学校あるなと思ったら商業高校で、商業高校なのにお洒落という代官山の力を見た。すると橋があり、まあ、特に下は川とかではなくて、やはり代官山というだけあって山なので丘とか多くトンネル風の橋というかそんな感じでそこから見える景色が煌めいていたし、車道を挟んだ向こうも素敵っぽいので渡るとそっちはなんか壊滅していてション。しかし。少し進むと公園があり、やはり丘になっていて、木が生い茂っているんだけど暗闇の向こうにキラキラとした街の灯りが微かに見えてグイグイ進み視界が開けると素敵な場所に出た。
そこは閑静な丘だった。煌めく夜景に、今夜は月もバッチリだった。うはッたまらんね。これこれ散歩のいいとこコレ。しかも柵沿いにベンチが置かれていて、もう好きなだけ眺めてくれと言わんばかり。

じゃあじゃあ早速と思いベンチに近づくと何やら人影が。そこには若いアベックが座っていて、しかもなんか女性は男性の膝の上に乗っかって向き合っていて、僕は子供だからよくわからないんだけど、対面座位っていうんですか?そういう感じで、感じというかもう完全に対面座位でいたしちゃってて、女性スカートだし、え?何で?酒を持ったおじさんが二人近づいて来ているのにアベックはその体勢を解かないというか、ますます頑なで僕らは赤面。僕ももっと子供の時にはそういった経験があるけれど、あれ見られる方は興奮するけど見る方は全然興奮しませんね。
僕らは丘の下に続く階段を発見し降りていくと、謎の研究施設みたいな建物があり、照明も全然なく暗く怖い。建物に入ったら最期で、大きな鋏を持った猫背の男に追いかけ回され殺害されるみたいな建物でこれを敬遠。道沿いに歩くと道路に至る道と、丘の上に続く階段があり階段を選択。するとさっきの対面座位ズの場所に出るんじゃないか?と思われたんですが、なにやらヤンキー調の声が聞こえてきて、階段を登りきると、金髪のヤンキーみたいな人達が3人で僕らの様にこの公園に興奮していた。
アベックの方を見やるとさっきまで頑なに対面座位してたのに、横並びにチョコンとベンチに座りお手手なんか繋いじゃって、破廉恥さを微塵も感じさせない感じで、清廉なお付き合いをしているカップルに見えた。ヤンキーにびびっちゃってもう。可愛いんだから。


この後もガシガシ歩く。途中神社があったのでこれを参拝し恋みくじなるものを引く。芸能界の逸話が多数生まれたというファミレスを眺めながら飲酒。長谷川さん家の前のバーに入りドイツ料理のレストランの厨房で働く女性とミッシェルガンエレファントのキラービーチがいいよねーという話をする。店を出ると家が目の前なのに長谷川さんがついてきて、ああ、大通りまで来てくれんのかなと思ったら「今、歯が痛くないんだよ!」と錯乱してるのか訳のわからない理由で小道を曲がり変な公園で飲酒。しばらく進むと僕の母校である東京アナウンス学院があり、なんか電気ついててドアが開くから入る。職員室まで行きすいませーん!と呼ばっても応接がないのでロビーみたいなとこで飲酒。つか外が寒くなってきていて、しっかりと温か装備の僕は良かったけど、少し薄着の長谷川さんは寒さの限界が来たのか歯が痛いと言い始め帰ればいいの帰らなかったので東京アナウンス学院のロビーで寒さを凌ぎながら飲酒。暫くすると、掃除のおじさんがビックリし過ぎて声出ない、みたいな感じで立っていて怒られる前に退散。そのあとアメリカンドッグや牛丼などを食べて中野新橋に到着。通勤の感じの人達がウロウロしていてそんな時間だった。電車に乗って帰った。ふたりとも電車に乗って帰った。

夜の散歩はまだ二回しか開催していないけれど、こういった散歩もしてるので、この数週間でフルマラソン以上歩いている。

歩いているからか、階段などはもうスクースクーのぼれる。ただ飲酒の量も増えている。気を付けたいところです。

 

 

 

本当は、エンニュイの稽古のことや、焼き魚のカマスがとても美味しかったこと、恵比寿の街中での無人野菜販売所に感銘うけたこととか、HUNTER×HUNTERのキルアの実家の犬みたいなオブジェの事や、色んな話をしたことやなんやかや書きたいことがいっぱいあったんだけど、好きな人や物が多過ぎて見離されてしまいそうだからここらへんで終わります。充分長ぇわと思ったあなた、正解。

 

 

予定されていた第三回の散歩本日やろうとおもったけど、明日はパレードなんすよね。今日皇居目指して歩いたら警備とか凄そうなんでやめときます。

第三回めは近日開催予定。短歌を詠むイベントを予定。