第4回夜の散歩報告書

"くだらねえ世の中" "くだらねえ俺達"
そんなのお前百年前から誰でも言ってるよ。
お前変わんねえんだよそれ、お前縄文時代から変わんねえんだよお前それ。

 

これは僕の好きなバンド、エレファントカシマシの『ガストロンジャー』の歌詞の一部なんですが、この歌本当に格好いい。まあこの歌に限らずエレカシはどの歌も格好いい。男が格好いいと思う男。男の歌。

 

 

や、や、や、2020で御座い。マジ賀正。閏ですわ。
今年もひとつよろしくお願いしマウス子(ね)。


晦日、朝まで飲んで実家に帰り3日までいた。
実家は神奈川県川崎の武蔵小杉で御座い。帰省という感じはそんなになくってさ、元旦に恵比寿でライブも出れたりする距離ですのよ奥様。
3日、素晴らしいNIPPON晴れだったので、午前中、多摩川の河川敷で凧上げなどしてお正月を堪能しようと後輩である太郎ちゃんに連絡。太郎ちゃんとは正月に会う風習があって、なぜなら僕の実家から近いとこに住んでいて呼び出しやすいのである。一昨年も元旦から凧上げをした。しかし。
なんと太郎ちゃん正月そうそうギックリ腰みたいなことになっていて動けないとのこと。クッソと実家には正月必ずあるハーゲンダッツのグリーンティーをベロベロ舐めながら思った。
ならなら、下の姉家族が3日は実家に帰ってくるというので、甥っ子姪っ子を連れて多摩川で凧上げしようかなと思ったら夕方に着とのこと。クッソと実家にある見たことないお煎餅をボリボリしながら思った。

どーしよっかなーと箱根駅伝をTVで流しながら新聞を捲ると、なんでもしぶんぎ座流星群というものが4、5日に観測出来るらしいとの記事。ほーん、と腹をかきながら思っていたら、ハッッ!!肥ったッ!?腹膨らんでるッッ!や、や、前から肥えていたけれど大晦日からコッチ、冬眠タイプの生物の秋の過ごし方ばりに常に口の中に何か入っていた。栄養を摂取し続けていた。栄養過多。しかも怠惰。怠惰&過多。タイダンドカタである。

僕は思った。運動せねば。
あと凧上げしたい。あと流れ星見たい。

 

 

 

 

ということで、その全てを兼ね備えている夜の散歩をすることにした。
僕は23時45分頃、集合場所である東高円寺駅の外で完全防寒しながら赤ワインを飲んでいた。
しかし、しかし僕は帰りたかった。眠かった。僕は下の姉家族とスキヤキを食べ、UNOなどをして家に帰って来た。精神的に満たされて家に帰って来た。そこで思ったのだ。散歩、面倒臭いと。やっぱこの3日ですっかりタイダンドカタになった僕は、は?夜に散歩?朝まで?何でそんなことしなきゃいけないの?意味わかんないんだけど?何が楽しいのそれ?何の生産性があるの?と至極真っ当な思考回路になっていたのだ。しかし、Twitterで告知は夕方の、まだ精神的に充たされず錯綜している時間にしていた。家に帰って来て湯船につかり、スマホをみやると、別件で飲んでいたと思われるクレオパトラの長谷川さん(実名)が「行くよ!」などと呪いていてガビーンッ!開催決定。

 

僕が赤ワインを飲みながら長谷川さんを待っていると「吉本さんですか」と声優さんみたいな可愛らし声の女性が話しかけてきた。何だ、逆ナンか?と思っていると参加者で、名を大権現巖冷水COLOR(仮名)といい、僕のひとつ年下のアパレル業の人だった。
長谷川さんが合流して自己紹介タイムの時に、何だか霊験灼然な感じの名前の人だったし尚且つアパレル業ということなので、正月に服屋さんでやってる福袋ってどうなんですか?と聞くと、あんなものは全然福袋ではなくて、だったら同じ金額で自分が欲しい服買った方が良いと教えを受けた。霊験灼然~ッと思った。

大権現巖冷水COLORはパッと見、酒を持ってないので、酒あります?と聞くと、水筒のようなものを取り出し「ホットワインを作ってきました」とか言ってて、えらく洒落たモノ飲みますねえ!アパレル業だねえ!と思いました。

ささ、本日は目的地がなく、やりたいことはあったので、過去に「渋谷から皇居を目指す」と決めたのに行っていなかった皇居を目指すとして、その途中に新宿中央公園があるから、そこで凧上げをしようと決定。東高円寺駅から、ほぼ道路を一直線のルートである。前回、迷子になりすぎたので、分かりやすくていい。


駅を出発し自己紹介タイムが終わりふと、前々からこの散歩に参加したい参加したいと言っていた、ニュークレープのリーダー(芸名)が、このルート上に住んでるのを思いだし連絡。しかし連絡はとれなかった。


出発してすぐ、こんなところにこんなもんあったんだ?という感じで、長谷川さんが1000円ガチャガチャを発見した。よくドンキホーテとかにあるやつだ。なんでも一番いい特賞のカテゴリーにはPS4やらドローン等あり、わ、わ、わ、ドローン欲しい!と思っていると長谷川さんが1000円を投入。僕はこの時点で散財の予感夥しく正月から不吉だった。
すると、ぐにゃぐにゃと曲げて自分のいい感じのポジションにスマホを固定出来るスタンドみたいなものが当たった。アタリなのかハズレなのかよくわからない。しかし、ボタンが16個あったのだけれど、長谷川さんが押したところが「売切れ」という表示になった。何ッッ!?これはじゃあ、16箇所全部押して特賞にあたる賞品が出なかったら、コレどういうことですねんけつかんねん!と店に怒鳴り込める893みたいな真似が出来ると言うことである。
おほッ!やったろうじゃん!と思っていると大権現巖冷水COLORが1000円を投入。すると蛍光色の100円のガチャガチャでもハズレだろうと思われる様なオモチャ然としたプラスチックとゴムのデジタル腕時計だった。うはー、こういうのも出るのか…ゴクリ。
実は僕は手ぶらで、両手に赤ワインと凧、ポッケに実家からくすねてきた生ハムの切り落としとスマホというstyleだった。財布を持ってきていなかった。助かった。こんなの現生もってたら全部突っ込んでるとこだった。と安堵のため息をつこうとしたその時、もしもの時の為に現金幾らか持っといた方が良いだろうと、財布から札を抜きスマホケースに収納していことを思い出した。しかも財布開いた時に、万札が二枚だったのでその一枚を持ってきてしまったのだギャース!散財の予感がいよいよ生々しい。

家にあった飲み差しのワインだったので、この時点でもうなくなり、じゃあコンビニで新しい赤ワイン購入がてら札を崩していざ挑戦。


ピンクの腕時計だった。
目も当てられなかった。女性用なのはわかるけれど、どのようなPTOにも合わないようなダサいデザインだった。値札の2980円が虚しい。すぐにリトライ。


ダサダサの財布だった。
目も当てられなかった。あまりのダサさと不必要さに驚き買ったばかりの赤ワインが手からスルリと落ちて割れた。ここで目が覚めた。赤ワインはもったいないことをしたが、目が覚めて助かった。
すると長谷川さんが、オラオラーッと叫びながら1000円を投入。
なんかストローみたいなの当たってた。目も当てられなかった。一番のハズレを引いて照れた様に笑う長谷川さんを直視出来なかった。

そんな僕らを大権現巖冷水COLORは冷静に見守っていた。風が吹いた。
よし、行こう!としたら長谷川さんが、賞品の写真の一覧の中からバックルがチェ・ゲバラという謎デザインのダサダサベルトを発見。何それ欲しい!気づいたら僕は1000円を投入していた。


今度はなんか、スマホに繋げて使える腹筋を鍛える低周波マッサージみたいな奴が当たった。多分アタリだった。しかし僕はもうハズレのチェ・ゲバラのベルトが欲しくなっていて腹筋を鍛える奴はむしろハズレだ。よしまだ6000円ある。と思い次の1000円に手をかけた時、リーダーから連絡があり、散歩に参加するとのこと。リーダーのおかげで散財は3000円で済んだ。ありがとう。

 

リーダーと合流。リーダーは温かそうな格好をしていたけど、何だかサッカー選手の私服みたいな格好をしていた。サッカー選手の私服というか武田修宏みたいな格好をしていた。少し前の元サッカー日本代表の私服みたいな格好をしているなと思っていると、長谷川さん曰く、最近リーダーはサッカー選手みたいな格好をするんだよな、と言っていた。意図してやっているのなら、僕がそう思ったということはリーダーの思惑通りだ。やるなリーダー。

 

大通りを真っ直ぐ進んでいくのだけれど、まだ3日の深夜、明けて4日ということで閉まっている店が多かった。24時間365日やっていると思っていた牛丼チェーンやコンビニエンスストアーまでも閉まっていたりして、新宿もほど近い大通りなのに薄暗かった。


途中曲がり、新宿の中央公園の噴水前の広場で深夜の凧上げをする。
僕の持っている凧はアメリカ製で風がなくても楽々と飛ぶ優れもので、案の定飛んだ。しかし、風が全くなくて、風があればマジで目の前の都庁の展望台くらいまで上がるのだけれどビルの4階くらいまでの高さしか上がらなかった。しかも疾走してようやくといった有り様で、僕はすぐ疲れてしまいリーダーが参加したてということではしゃいでいた。僕はその場で寝転がり流れ星を2つ観測。やったね。
噴水前広場を蹂躙する勢いで凧上げしながら疾駆していたリーダーが調子に乗り端ギリギリを攻め凧の糸を木に引っかけ、絵に描いたような手の届かないとこに凧が引っかかり終了。なんとか外し袋に収納。キャ韻踏んじゃった。出発。


都庁の目の前だから、あの円形の中庭僕好きなので、行くと、銅像が数体置いてあり、その感じがまさにRPGとかでそれぞれのjobの最強の武器を守ってる神みたいな感じでアテレコして遊ぶ。

 


ここまでは非常に楽しかった。ここで帰れば良かった。なぜならここで僕は疲労も困憊で、久々の散歩に脚も痛くなっていた。

しかも、ここから道路をひたすら真っ直ぐ進むだけなのである。道も薄暗く人もあまり歩いていない。アジアの中でも生粋の魔都と呼んで差し支えない新宿を歩いているのにあまり人がいないのだ。眠らない街も今や昔、すっかり健全な街になったのだ。

途中、新宿二丁目のやたら盛り上がっているゲイバーの前を通り過ぎた時に長谷川さんが女に絡まれたのがハイライトくらいで何も起こらなかった。

気になったのは、マッサージ屋(健全)だけは開いている。ということ。牛丼チェーンやコンビニエンスストアーが閉まっているのに、マッサージ屋(健全)だけは開いていて、しかもこんな時間でも?と驚いた。


太田プロの事務所や、あの芋ついてくるカレーの弁当で有名なオーベルジーヌとかをアナウンスしつつ歩いたり、公園でトイレに行った大権現巖冷水COLORにもう先行っちゃったドッキリとかはしつつも、ひたすら大通りの一本道なので代わり映えなく、みなも口々に帰りたいとか、何の時間だとか、脚痛いとか、意味がわからないだとか、くだらない世の中だとか、言っていて、四人全員が喋っているのに、誰も誰とも会話してないみたいな時があって、流石に笑う。


さ、皇居が見えて来て、そこは半蔵門だったのだけれど、とにかく皇居に着くも皆そんな状態で、しかも半蔵門のとこからの皇居って暗くて、とりあえず一周してたら皇居ランナーの方とかいたり、ライトが綺麗だったり大権現巖冷水COLORがトイレ行きたくて堪らなくなったりして、なんとなくfinish。
長谷川さんが、いつ終わったのかわからないままfinish。言おうか、僕の中で都庁の中庭見た時には今日の散歩は終わっていたのだ!だッッ!

 


とにかく疲れていた。
東京駅の方まで歩いて、皆丸ノ内線に乗り込む。僕はすぐ寝てしまった。
正月そうそう、なんてくだらないことをやってしまったのだろう。僕は夢を見た。なんか原始人みたいな格好をしていた。マンモスを狩りに行っているのに、何かキラキラしたものを遠くに見つけそっちにふらふら歩いていくと、全然きらきらには辿り着かず、意味のない歩みをずっとしていて、早くマンモスを狩らないといけないのに意味もわからず歩いていて、ずっと歩いていたら、そのきらきらは海だった。内陸部に生まれた猿がはじめて海を見た瞬間の夢だった。


くだらないことにも意味がある。もしくは全ては意味がない。意味がないなら楽しい道を。そんな夢だった。それが僕の初夢だった。
2020はどんな一年か。変わらず意味がないことを楽しめたらいいなと思う。本年もよろしくお願いしマウス子(ね)。

 

 

 

 

 

あ、嘘である。真っ赤な嘘である。そんな夢は見ていないのである。
なんか後半内容が薄くなったので、いい感じで終わろうとしてついた嘘である。

初夢はすでに元旦に見ている。
なんか未来の、今より進んだマッチングアプリみたいのが普及していて、それで出会うのが当たり前みたいな感じの世界観で、価値観とか合う人同士を勝手にコンピューターが計算して出してくれて、それが駅とかに設置されていて、俺それやってて、マッチングして、その途端後ろから抱きつかれて、おいおい随分積極的な女の子だな!と思って振り替えると、マスクしててキャップ被ってて、よく見るとカルロス・ゴーンだったみたいな夢でした。

 

散歩、寒いけどまあ出来ることがわかったんで、冬もやっていきます。ぜひどうぞ。しっかし、女の子は毎回はじめましての人が来るな。不思議だ。あと毎回はじめましてだとリピーターがいないみたいで嫌ン。楽しいよ!楽しんではいると思うよ!