ついに注意された

本格的に暖かくなってきましたね。今日は雨なんか降っちゃって電車とかだと蒸すというか、ちゃんと外着だと汗かくというか。

今日は有吉ベースの収録に行ってきました。太田の若手が結構集合していて人数も多く、コロナ対策としてまず体温計を渡され、37度5分以上の人は収録に参加出来ずとっとと帰って下さいということだ。ちゃんとしている。
三人ずつくらい計っていき僕の番。体温計を脇にさしてしばらく待ち、そろそろかなあと体温計を見ると36度2分で良かった良かったと思っていたら丁度ピピピと電子音が鳴り、ああ終わったと思って脇から抜いた瞬間37度6分とかふざけた数字が出た。一瞬凍る現場。いやいや脇から抜く瞬間まで36度2分だったから!見たから!むなしく響く言い訳。隣にいた人達が少し間を置く。ちょちょちょちょ!もう一回!もう一回計らして下さい!とチャレンジ。
今度は36度6分。ふぅー、あぶねえあぶねえ。なんなら焦ってちょっと体温上がってやんの。と思ったら僕と同じ現象の人が何人かいて、どうやら脇からシュッと素早く抜くのが原因だった。当たり前だけど無事全員クリアで収録。
アルコ&ピースの平子さんが凄かった。格好良かった。こんなお父さんなら頼りになるなあと思った。

 

家に帰ってきて、なんかじゃらじゃらと家の事をやり、なんか知らないけどシンク周りを綺麗に掃除して夕飯。
なんとなくギターを触っていると、もう音がズレまくっていて切ない。


このギターは実はもう寿命らしく、確かに考えてみれば決して丁寧とはいえない扱いで購入してから10年以上経っていた。
僕はここ数年、年末に神無月さんの単独ライブでギターを弾くだけという、お笑いとしてではなくほぼギタリストとして参加していて、昨年末にやたら若く見え40歳くらいのチャラい感じのバンドマンみたいな50代半ばの舞台監督に、ああこのギター死んでると言われたのだ。どういうことかというと、まず二弦のペグがとれているのは前からなんだけど、知らない人に説明すると、よく演奏前にギタリストが音を合わせる為にくりくり回しているギターの先端についてるやつだ。ここを弄ると弾ける人感が出る。まあ、とにかく二弦のペグが前から取れていて、音を合わせる時にはペンチで挟んでやっていた。まあそこは音を合わせるのが面倒臭いだけで弾くぶんには問題ない。
問題は五弦と六弦らしく、ここのペグの土台?がズルズルになっているらしく、音をちゃんと合わせてもしばらく演奏するとすぐに音がズレてしまうらしいのだ。らしいのだ、というのは僕はもともとそんなに音楽的な耳が良くないのでそんなのは一切分からないのだ。しかし、すぐ音が変になるなあとは何となくはもう随分前から思っていて、つまり舞台監督曰く、もうこのギターは死んでいるとのこと。

 

このギターは、25歳の誕生日に母親に買ってもらった。なんでも母親の中で子供の25歳の誕生日には少しいいものプレゼントするらしく、姉ふたりの時は腕時計だったらしい。
当時、僕は別に腕時計いらなかったので、じゃあギター買ってくれるということで、Fenderエレアコを買ってもらった。灰色のボディが気に入って決めた。なんかフェアかなんかやってたのか結構割引きされて、五万円くらいだった気がする。
まあ、このギターでテレビに出れたこともあるし営業などでも弾いたりなにより、普段から弾いているので、実は死んでいるとなるとそれはそれは切ない。落ち込んだりくさくさしたらストレス解消の手段がギターを弾きながら大きな声で歌うしかない僕にしたら一大事だ。
悲しい時も辛い時も仕事で失敗した時も手痛い失恋をした時も楽しい時も嬉しい時も大ウケした時も恋が成就した時も真夜中ふっと奇跡のメロディが降りてきた時も、この10年このギターとずっとやってきたのだ。
お前はミュージシャンか!?と思われた方すいません。しかもギターを使うネタというか歌ネタなんてほぼないのに、ギター芸人みたいな口ぶりすいません。


しかし1日一回は触っていたのに、死んでいることすら気付かないなんて、恥ずかしいですよ僕は。ごめんよ。


3月の末に開催予定のやさしい雨の単独ライブでギターを使うネタがあって、なんで、ギターを新しく買おうと松崎と話した。まあ経費で落ちるなら万々歳だ。しかし。しかし、まだギターは鳴っている。
実はさっき弦を全部とって、ギターを丁寧に拭いて、手入れして、新しい弦に張り替えた。弦を総入れ替えするのは久々な気がする。

上から下までストローク。ジャワァアアンといい音が鳴る。お前本当に死んでんのか?少し弾いて歌ってみたりした。クリープハイプの「憂、燦々」からはじまり「寝癖」「二十九、三十」「ただ」「わすれもの」「イノチミジカシコイセヨオトメ」「百八円の恋」「陽」高いので音程を気持ちよく歌えるとこまでずらして弾く。全然鳴るじゃねえかお前ッ!まだまだイケるじゃねえか!次はMy Hair is Badの「戦争を知らない大人たち」「グッバイ・マイマリー」「卒業」「運命」「接吻とフレンド」「虜」「悪い癖」「浮気のとなりで」「真赤」あとやっぱり気持ちいいからもう一回「戦争を知らない大人たち」を。いや鳴る鳴る。良く鳴る。よしそんじゃあ次久々にミスチルいっちゃおうか!最初はなんだ「名もなき詩」だな!そうだな!そして僕がG6をジャカジャーンッッと鳴らしたその時!


リンゴンー…と家のチャイムが鳴らされた。


え?誰?誰も訪問の予定ないのだけど。しかもうちのチャイムの音は、地震のアラームのように、実に不快で大きな音が鳴るのでビクッとなる。


扉越しにハイ?と言うと、下の者ですが、と言われた。
僕の階下はタイ古式アロママッサージ店というAVに出てくる設定みたいな店で、小汚ないAVに出てくるようなおっさんが経営している。覗き穴を見ると確かに小汚いおじさんが。扉を開け用件を伺うと、すげー感じ良く「もう少しボリューム落とせませんかね」と言われた。


やっちまった!!
遂に注意された!この家に住んでもうすぐ4年。楽器演奏禁止の賃貸だから最初はポロポロ控えめに弾いていたけど、全然文句言われないから24時間いつでも熱唱していいと勝手に思ってた!やっちまった!僕はすいません!もう弾きません!と平謝り。おじさまは終止にこやかに帰っていった。


うわうわうわ。と思いながらスタンドにギターを置いて最後にジャランと鳴らした。もう音はズレていた。鳴きそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


新しいの買おうと思っていたけれど、単独はコイツの最期の舞台にしようと思う。派手に散れッ!ダイハードだ!