第2回夜の散歩報告書

最後の一撃はそっと 私の頬を優しく撫でて

 

これは僕の好きなバンド、ポルカドットスティングレイ『少女のつづき』の歌いだしの歌詞なんだけど、この歌の内容と離れ、この一文だけでも凄く素敵な文章だと思う。最後の一撃は優しいからこそノックアウトされるのである。

 


さて、先日夜の散歩をやってみた僕でしたが、あまりの楽しさに一週間経たずに再び開催。
前日、苛が貯蓄される出来事があり以前の僕ならそれくらいの苛はなんちゃないねってなモンで、まだまだ苛から苛々にならないくらいの苛でしたが、こう気温が下がりつつある最近では、苛の効果が2倍のデバフがかかっており、苛が苛々となり散歩しないと立ち行かない状態に。

世はハロウィーンでニギニーギしてるというのにそれとは全く関係なく夜の散歩。
前回の轍も踏まえず、当日の昼にTwitterで告知したところ余りの反響の無さにビビり、慌てて後輩に連絡。

少し話は逸れるが、僕は後輩に傍若無人に振る舞うことが出来ない。変に気を使ってしまうのです。そんな僕が傍若無人に振る舞える数少ない後輩、六六三六の太郎ちゃんに連絡するとOKということで無事開催の運び。
この太郎ちゃん、先輩の誘いを普通に断ってくるので誘いやすい。あと自慰行為の時に調子が良ければ手を使わず仰向けで寝っ転がったまま発射出来るという特技の持ち主、シコらぬ先生という異名を持つ男で大変気持ち悪く、居心地が良いのである。

とにかく後輩に気を使って傍若無人に振る舞えない僕が「いいから、来いよ」と言えるのが太郎ちゃんなのです。嘘です。格好つけました。ただ単に人望がないだけです。人望欲しい。キャ。

 

一期のメンバーで決めた、二期の散歩ルートは新橋からお台場に向かうというものでした。
一期で途中お腹が結構減ったので今回はイベントも用意。ひとりおやつを500円以内で買ってきて披露する『おやつセンス選手権』である。非常に楽しみである。


24時に新橋駅のゆりかもめの方の下で集合なのですが、その前に僕はプールに行ってしまいました。
どういうことかと言うと、ゴールドラッシュの田邊さんという、別名、巨根の権現から最近肥えてきて痩せたいということで、区民プールで自分の身体を虐めぬかないくあ?と誘われ、僕も冬眠するタイプの生物じゃないのに冬に向かって勝手に身体が肥えてきたのでこれを快諾。一時間程クロールで泳ぎ続けるという荒行をした。以前はよくプールに行っていたのだけれど、実に3ヶ月ぶりくらいで、途中で胸と二の腕が熱を持って千切れてしまいどっかに飛んでいったし、脚も小型犬の様にプルついて、このあと散歩なンどとてもじゃないが出来るコンディションじゃなくなってしまい焦燥。

開催を中止しようかと思ったけれど強行。なぜなら、そも、このイベントのコンセプトが無益な行為に拘泥したい。意味のないことを楽しみたい。だからだ。
身体の調子が悪いのに散歩を強行するという無意味さに僕は大層興奮した。

 

さ、家の近所のスーパーで赤ワインと水、500円以内のおやつを買って新橋に23時45分くらいに到着。
早速ワインを飲み太郎ちゃんを待っていると、女性としてはやや背が高めの女性がチラチラこちらを伺いながら近寄ってくる。なんだ?逆ナンか?と思っていると参加者で、彼女は名をハイブリッジ殺気(仮名)と名乗った。なんか仕事のあと家に帰ると明日休みだからノリで来たとのこと。今回も確り狂人だった。普通今日に限ってはノリで行くなら渋谷のハロウィーンだろう。後の自己紹介タイムで分かるのだが、22歳の服屋で働く娘で出身を栃木県だという。アッレ?と思った。確か一期メンバーの発光ダイオードレディ(仮名)も24歳で出身地が栃木県だった様な気がする。なんだ?20代前半の栃木県女性は狂人だらけなのか?それか逆に狂人達なので栃木を追い出されたのか。

とにもかくにも、太郎ちゃん(本名)も合流して、一応他の参加者を24時10分まで待ち、当たり前の様に誰も来ず出発。


この時点でワインをひと口ふた口飲んだだけなのに、僕はもうフラついていた。皆もプールのあとに飲酒してみれば分かると思うが、凄く酔いやすいのだ。あと小学生の頃を思い出してもらいたいのだけれど、プールの後の授業なんてみんな寝てたっしょ?この時の僕もそうで、既に凄く眠く今日の散歩ガチで剣呑。

 

しかし。スタートしてみればキラキラとした新橋の街並み、東銀座では歌舞伎座などあって、大変きらびやかだし、人もいっぱいいるし、すぐに高まるテンション。前回は川原で暗く人もあまりいなかったので対称的な散歩だ。
映えるスポットが多く、今回はフォトジェニ散歩だった。特に写真はとってないが。


当初の思惑としては、ゆりかもめ沿いに歩き、レインボーブリッジを歩いて渡りたいと思ったけれど、夜間の通行は禁止されていてション。ぐるっと遠回りするルートに変更。
途中、大きな橋を何度も渡る。埋め立て地をいくつか経由して埋め立て地に行くので、当然橋を渡る機会が多いのだけれど、しっかし、何故にこうも『橋を渡る』という行為は興奮するのか。RPGの感覚でいうと、あっちの大陸には強い敵がいるかもしれない。今のレベルのままじゃ通用しないかもしれない。けどこのワクワクが止められない!という感じ。俺、強い奴に会いに行くんだ。とポツリとこぼすと、二人に胡乱な奴だと思われて会話の既読スルーが酷かった。


理由はないけど横断歩道があったらのぼり。灯りのない巨大建築物や巨大なフェリー。闇の取引が行われてそうな倉庫街。非常にボンヤリとした明かりの豊洲市場の文字。裏腹に活発な様子で働く人々はチャリで爆走していたり。ところどころ地図があるのだけれど、埋め立て地の連続であるし道も少ないので馬鹿みたいに簡素で情報量の少ない地図に笑う。進むに連れて人も車もなくなってきて、海の近くらしく風も出てきて肌寒く、お台場感が出てきたけれど、僕はもう限界だった。YJ限界。両腕はプールに置いてきたし、すでに脚が融解しはじめて、太ももの中頃まで溶けていた。

ハイブリッジ殺気は飲酒しているが太郎ちゃんは下戸。ハイブリッジ殺気も仕事終わりだけあって少し疲れているのか口数が少し減り、先ほどから太郎ちゃんしか喋っていない。まるで主催者の様な立ち振舞いだ。イヤイヤ主催は我である。それを知らしめる為に暴力で以て制圧しようとするも、身体が言うことをきかない。流石にマジで限界が来て、一旦座って休憩。そしておやつセンス選手権の前半戦を行うことに。このとき場所は東京ビッグサイトであった。大階段に座り、おやつを披露する。

他のメンバーは類種をいくつか用意していたが、僕が2品しか持ってきていな かったので、前半一品、お台場についてからの後半に一品披露する感じに。
ジャンケンで順番を決めると、1番手は僕。

この勝負、順番がかなりモノを言う。みんなお腹が減ってきているし疲れも見えはじめての一品。僕はしょっぱいのと甘いのを持ってきていたが、迷った結果しょっぱいを選択。


【YJの一品め】
揚げた豆。揚げた豆である。グリーンピースを素揚げしてブラックペッパーで味付けしたものであり、みんなの味方マイバスケットで100円で売っている。

 

これは大変美味であり、疲れに塩分と、渾身の一撃となり皆痺れた様に唸った。しかし。それを受けての二番手太郎ちゃんの一品がまた秀逸だった。


【太郎ちゃんの一品め】
ジャイアントカプリコ(イチゴ味)。言わずと知れた銘菓である。エアリーなチョコにパリパリのコーン。

 

やはり王道の攻め。しょっぱいのの次は甘いの。この攻撃に揚げた豆の印象が弱まる。さらに王道の攻めが続き、今度はしょっぱいの。


【ハイブリッジ殺気の一品め】
ベビースターラーメン5連。そもそも強者であるベビースターラーメンであるが、小さいパック5連にすることで食べきり易さ分けやすさ歩行中の補給し易さなどへの配慮がグンバツ

 

参った。俺は圧勝すると思っていたのに、二人ともおやつセンス選手権ガチで来やがった。かなりな混戦が予想される。うかうかしてられない。
おやつで養分を摂取すると、あからさまに体力は回復していて、お台場までもう少し。気合いを入れてエイヤと歩くと、お台場の大観覧車が見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、ハッと目覚める。いつの間にか寝てた。見渡すと個室で、ああそうかと合点。俺はお台場の砂浜に着きレインボーブリッジを眺め、その奥に煌めく東京タワーを見ていたら、猛烈にウンコがしたくなりトイレに駆け込んだのだ。脱糞しながら寝てたのだ。キャ恥ずかしッ!


何喰わぬ顔で出ていくと太郎ちゃんとハイブリッジ殺気が普通にしてたので、一瞬の睡眠だったのだろう。

お台場の砂浜をグルーと歩くと、先っぽに遺跡みたいのがある公園があり、そこをゴールにしよう!と決定。その前に。


おやつセンス選手権後半戦。1番手はハイブリッジ殺気から。


【ハイブリッジ殺気の二品め】
いもけんぴ。古くから伝わる日本の家庭のお菓子である。やられたッ!!この散歩最終盤のここに来ての糖分&目の覚める歯応え。これは会心の一撃


かなり、劣勢に追い込まれてのYJ。巻き返せるか!?


【YJの二品め】

リンゴ。はい果物。前回の散歩でも携帯したのだが、やはり果物のjuicyさに勝るものナシ。しかし、このリンゴのコンディションが悪く、もっさり感のあるリンゴだった。

 

圧倒的に勝つと思われたYJの優勝はそのもっさり感により潰え、次いでラストおやつ!


【太郎ちゃんの2品め】
さけるチーズ(プレーン)。ああ駄目だ。コイツマジで勝ちに来てんよ。俺ワイン持ってるし。なんでコイツ下戸なのにさけるチーズ買ってきてんだよ。食らっちゃう。痛恨の一撃。

 

勝敗のつけ方は、全6品の中で公正に自分の中で三位まで決める。三位1ポイント、二位2ポイント、一位3ポイントとなるわけだけど、もう割愛。
結果太郎ちゃん8ポイント、YJ5ポイント、ハイブリッジ殺気5ポイントの太郎ちゃんの優勝。

 

糞がッッ!!
滅茶苦茶悔しかった。舐めてた。次はもっと本気で望みたいですね。

 

さて、砂浜をグルーとまわって先っぽの公園を目指すも、そこに至る道の途中から灯りが皆無。漆黒の出島。カモメなのか海猫なのかわからんけど、ギャースギャース鳴いていて不気味。こっちは三人いるのに、その漆黒の道を進むのは躊躇われた。しかし、負けた悔しさから髄髄進む。

砂浜の先っぽである出島の先っぽまでくると、そこはレインボーブリッジを最も間近で見れるスポットで、まさに散歩のゴールとして相応しい絶景であった。

写真などにおさめるもイヤイヤ、やはり肉眼で見た光景に、歩いてきた苦労も加味してその感動は生には到底及ばない。これも散歩の醍醐味である。今回も前回同様大変楽しかった。メンバーに感謝して、ここでfinish。今回は10㎞ちょっと歩いたけれど、プールに行ったせいで前回よりもかなり疲弊していた。


電車で東高円寺につくともうすっかり朝で、とんでもなく快晴。家について、シャワーを浴びる。窓を開けベッドに横たわると、爽やかで少し冷たい風が僕の頬を優しく撫でた。最後の一撃はそっと、私の頬を優しく撫でて。というフレーズが頭に浮かぶか浮かばないかの一瞬に僕はもう、深い眠りに落ちていた。

 

 

二期メンバーとの協議の結果、次回は渋谷集合で皇居を目指す散歩となりました。そうすると少し距離が短めなので、ぐるっと皇居を一周する予定。
郵便番号は皇居を中心に数字が増えていくので、郵便番号を減らしていく散歩ですね。奮ってご参加を!