八戸探訪日記。その1~道程~

久々に旅行らしい旅行をしたので、これまた久々にブログでも書こうかと思い駄文を書きはじめたけれど、気分ルンルンでこれを書いているのではない。まあ、それは一言二言で済むような理由じゃないので追々書くとして、これを書きはじめたのは10月13日の15時である。
書き始める前から冗長なブログになることが予想されるのでいくつかに分けてアップしていこうと思う。その第一弾である。

 

さて、時を少し逆に戻して話は10月10日の事となる。ズギュン。


毎年、秋頃になると青森は八戸で横丁オンリーユーシアターなる催しがあり『酔っぱらいに愛を』をスローガンに様々なパフォーマーが集まるフェス的なイベントが開催されているらしい。
そこに昨年、何かと普段から親交のあるCHARA DEメンバーが参加し大変有意義であった為、今年も参加することになり、コントを一緒にやらないくあ?と誘いを受けた。
しかし、僕は出発予定日の10日にはカットモデルの予定が入っていたし、カットモデルというか知り合いの美容師にただで髪切ってもらうだけだけど、知り合いというか知り合いじゃないんだけど何か綺麗なちゃん姉だからラッキーというか親交を深めたいというか。親交を深めた上で、その上男女のお付き合いなどしていきたいと思っていた。男女の関係になりたいと画策していた。なので青森行きは断ろうとしていたけど、あと、ついでに、その期間中にコンビのライブもいくつか入っているので断ろうと思っていたのです。
しかし、相方の松崎君が脚を少しやっちゃって二週間程お休みとなり、じゃあ旅行がてら青森いってみっか!となったのである。

詳しいことはよくわからないけれど、コントを一本書くことになり、なんとなく三本書いてクレオパトラの長谷川さんに送ると全部採用されてあっちゃちゃ。頑張らねばと思う。

 

さ、そして10月10日になった。出発は朝の6時に渋谷を発ということで、僕は夜勤明けそのまま渋谷に向かい車を待つ。
何と車で10時間の道のりだ。過酷。
そして車を運転するのはアドリブコント集団『シル』のメンバーのひとり「高畑君」である。
この高畑君とは僕はライブで一度だけ一緒になっただけで喋ったこともないので人見知りの僕としては少し緊張。
高畑君は今回の遠征メンバーの誰ともほぼ面識ないのに、実家の車を出してくれて運転までしてくれるというイイ人というか単なる狂人なので、出会い頭に何をしてくるかわからない。いきなり車で追突してきて高笑いされるかもしれない。恐ろしい。純純は戦々恐々として渋谷の街角に立ち車を待った。

渋谷での待ち合わせにはCHARA DEメンバーの「たなしゅう」こと、人を苛々させる事において右に出るものはいないとされる、土塊の怪物も一緒である。

しかし、待ち合わせ場所には土塊はなく、純純のみである。すると青い車がスルスルと僕の横につけた。高畑君だった。彼はちっとも遅れてないのにほぼ初対面の僕に「遅れてすいません!」と気づかいを見せて、僕はその第一声で彼はナイスガイだと見抜いた。

車のトランクに荷物をつめ、土塊を待っていると連絡があり電車が遅れているだとか、待ち合わせ場所がわからないだとか言ってて、でもそれは本当は寝坊しただけで俺はうんこを我慢してまで待ち合わせ場所と時間を守っているのに何なんだコイツは!!と思った。しかも5分程遅れて登場した土塊は自分と同色の液体、アイスコーヒーなどを手に持ち(俺は墨汁を飲んでいると思った)、ストールみたいなものを首に巻いているし丸の内OLかと思うくらい優雅な歩き方でまるで遅刻などさもありなんな感じというか、第一声もすいませんじゃないしヤレヤレ。今日も絶好調だね!と思った。

 

そのあと、根本羽衣ちゃんを拾い青森へ出発となる。リーダーの長谷川さんは9日に現地入りし打ち合わせをする。あとアホなのか、何故か日付を間違えた葵あおいちゃんも青森に前のりしている。
なので車で向かうのはナイスガイコント狂人高畑君、土塊の怪物、純純、uiちゃんの四人であるが、渋谷を出発した辺りでuiちゃんから『少し遅れます』と連絡。


話が前後して申し訳ないのだけれど、重ねて言うが僕は夜勤明けである。さらにその前に仕事の打ち合わせで久々に『マジコロスリスト』に入る様な苛つきMAX人間との遭遇を経ての出発である。そこに来た寝坊の知らせ。

 

怒り心頭かと思いきや僕は全ッ然OKだった。

なぜなら旅行にテンションが上がり、なんやかやの疲れなどはぶっ飛びィで、後から乗車するuiちゃんに何かしら遊びを仕掛ける画策もしたかったからである。

そして待ち合わせ場所に着く頃にはゲームが完成。純純は語尾に「だっちゃ」をつけて喋る。土塊はタメ口。ナイスガイ狂人はuiちゃんと初対面なのでずっとおねえ言葉を使い、それをuiちゃんを乗せ高速道路に入るまでの間に行い、最初に指摘された人の負け。指摘出来なかったらuiちゃんの負け。敗者は小指の爪を剥ぐという重い罰。

駅のロータリーでuiちゃんを拾う為車を横につけドアが開くと第一声「遅刻してごめんなさい!」と。僕は「僕は全然平気だっちゃ!」と元気よくいうと「…だっちゃ…?」と瞬殺。前言通り僕は小指の爪を剥ぎゲームは一瞬で終わった。


さ、ここからはひたすら高速道路で青森は八戸へ向かうのみである。しかもドライバーは高畑君のみ。他3人は免許を持ってない。土塊は持っているがペーパーだし、俺なんかは普通免許どころか資格的なものは、誰でも持っている英検ですら持ってない。資格0人間、純粋なる何の枠組みを持たない人間吉本純、略して純純なのである。

 

そんな資格0人間に何が出来るかと言うとそれは「寝ないこと」である。
車内を盛り上げる。ブチ上げ。ドライバーを気遣い、眠気ぶっ飛び快適ドライブ空間を作ることなのである。

とにもかくにも着いてからは、まだ全体像を掴めていないコントを全6回やる訳で中中なミッションである。
これから10時間密室に四人でいる訳でミッション的にも仲良くなる必要がある。
なので車中では様々な話をした。基本的には土塊が最近別れた彼女の話をしていた。またしてるよ、と辟易。暴力でもってこれを制圧後、色々な話をした。
中でも記憶に残ったのは「今でもたまにシャンプーとかしてるときに急に思い出してアア!!と叫んでしまう人生の汚点ベスト3に入るような話」をした時だ。これは自分の人生の恥ずかしいことを暴露することで大変仲良くなれた。
あと高畑君がアドリブコント集団に所属ということで設定だけを考えてお芝居もしてみた。一番記憶に残っているのは「猿が進化した世界ではなくて、コアラが進化し覇権を握った人間のドライブ」である。みんなお腹が空いてきたこともあり、笹の葉の話でひとしきり盛り上がった頃、コアラは笹じゃなくてユーカリだ!と学のなさを痛感して終了。
他にも、すぐに自爆してそれを突っ込まれるとしょんと落ち込む土塊が、しょんとなりかけたらバリバリ!と叫んで元気になるというルールを追加したり、やはり気を使えること場末のスナックのチーママの如しuiちゃんが甘いのからしょっぱいのまで各種お菓子、おむすびなどを持ってきていて車内は大助かり。

途中に寄ったサービスエリアで俺は信じられないくらい大きいナメコが入った冷たいナメコおろしそばで舌鼓をうち満足。

道程の半分ほどを過ぎたころから、前年に参加している土塊から横丁オンリーユーシアターのイキフンについて聞く。
すると土塊は、サバが美味い。とにかくサバが美味いのだ。あとイカ。あと馬刺し。くらいの情報しか持ち得ず、やがて眠った。

横を見るとuiちゃんも眠っていた。

 

うむ。


話が前後して、またしても申し訳ないのだが、YJは夜勤明けだし10年ぶりにマジコロスリストに登録するような人物に遭遇し、朝の6時からノンストップでフルボルテージで車内を率先して盛り上げてきた。
そんなJが寝ていないのに二人はすやすやと眠りくうくうと健やかな寝息を立てている。僕は二人の鼻と口に濡れた真綿を詰め込み殺害せしめると、コント狂人の高畑君と楽しくコント談義などをして、そして少し予定から遅れること16時30分頃に、青森は八戸にある滞在中宿泊することになる市の施設である「はっち」に到着したのである。


(つづく)