演劇について。

8月の30、31日と恵比寿HANA REでチャラ劇というものにやさしい雨が出演する。


劇、演劇である。お芝居である。


劇というものは、僕は観たことは両の手で数えられる程度、出たことなんてほぼない。なので今から語ることはもしかしたら僕の偏見かもしれないし、不快な気を持つ方もいるかもしれないが、その辺は無知ゆえの無礼であることは了承してもらいたい。

 


さて、このチャラ劇にはアイドルの方とか出る。綺麗所の女性達だ。なのでまず、濃厚なkissシーンはあるだろう。100%あるだろう。なぜなら劇だからだ。劇といえばkissマジでしてんじゃん!というのはあるあるだ。普段僕がやっているコントではkissシーンは本当にkissしない。でも劇ではkissシーンでkissしなかったら演出家から灰皿が飛んでくるだろう。なので練習でも手を抜かないでビシバシkissをしていこう。舌をいれてやろうと思っている。

 


そして、女性達がもう普通に脱ぐだろう。これは劇ならではですね。劇なんか見てると、え??パイ乙ボロン出とるやんけッ!!と観劇に慣れてない人なんかは思うだろう。でもそれは劇であるから、そういうエロい気持ちというか、そういうんじゃなくて、こう何つうの?人間の美しさや醜さ、ひいては尊さ?そういった人間讃歌を描く過程でのパイ乙ボロンであるから、全然エロくないのである。むしろ真面目なのだ。

僕が普段やっているお笑いにおいては、女芸人がボロンすることで笑えるタイプの女芸人もいるけれど、それは稀で、大抵はなんか、エロい感じというか単に下品な感じになってしまい笑えない、もしくわ笑いづらい空気が流れてしまい女芸人は脱がないのが通説だ。しかも女芸人は大抵がだらしない身体。しかし、これは劇であるし、女性陣はアイドルだからスタイルはグンバツであるからして、パイ乙ボロンの人間賛歌は必然なのだ。練習の時でも当然、演出家の灰皿が飛んで来ないように脱ぐであろう。そんな時には僕は善意からスマホのカメラ機能を起動して動画におさめようと思う。やはり練習、自分の演じている姿を客観的に見てさらに改善するという行為は必要である。僕のとった動画を見せてあげよう。そんでそれを見てる時の顔を見てやろう。


うーむ。中々に剣呑である。

 

劇に出る心構えはあっても、いかんせん慣れないもんで、そういった時にこう何というかエロい気持ちになってしまったら、なにをお前は神聖な劇、舞台の上で女性陣が真摯な気持ちでパイ乙をボロンとしながら濃厚なkissシーンで人間賛歌を謳っているのに、股関を怒張させとるんだ!と詰られて、ハイヒールを履いた御み脚で愚息を蹂躙され発射してしまいかねない。


イカンイカンと思い、僕は神聖な気持ちで稽古に向かった。


そして、台本をもらい、オムニバスでいくつも話があるのだけれど、自分が思っていた2~3倍の出番があり、正直ビビった。それはもちろん台詞が覚えられるのかという不安もあるけれど、そんなに女性陣の人間賛歌に僕の身体はもつのか??という心配だ。


しかしそれは杞憂に終わる。


稽古が始まったら、濃厚なkissシーンどころか手を繋ぐシーンもない。男女が見つめ合うみたいなシーンすらない。ここは中東か?宗教上の理由か?と思うくらいそういうシーンがない。さらにおっぱいボロンどころかパンチラや際どいポーズどころか、ウインクすらしてくれない。


なんだこれは??


僕はパニックになり、ずっと息を吸ってしまう様な状態になってしまった。


僕が想像していたような劇ではなく、チャラ劇は、ただ下らなくて笑えたり、心がほっこりするような温かい話をユーモアたっぷりに、日常生活のあるあるや悲喜交々、不思議な空間だったり少し怖い情景だったり、破綻している故の可笑しみであったり、つまり、ただ面白いだけコント群であった。ふざけるのも大概にしろッ!と僕は三度絶叫し、恵比寿にその慟哭が轟いた。

 

まあ、人間賛歌ではあるが僕が想像していた人間賛歌とはかけ離れた代物で、隔世の感を禁じ得ない。

 


一体なんなんだこれはッ!?

 


僕の憔悴とも焦燥ともとれる感情を置き去りに稽古は順調に進む。

 

一度、女性陣が台詞と共にポージングするというシーンがあり、ニュークレープのナターシャが、後ろ向きになりおしりを前に突き出し、両の手でピースサインをして肛門の前で交差させる。という女性が女性らしくアイデンティティの確立ともいえる素晴らしいポージングを提案したものの、女性陣は笑ってとりあわず、そんなのやんないよー、みたいな事をヘラヘラしながら言い、男の中にもヘラヘラ笑ってまるでナターシャが単なる冗句を吐いたみたいな空気にしやがる輩まで出てきて、僕はもう怒髪が天を衝くというか、僕の怒りが気象を動かしゲリラ豪雨が降ったくらいだ。
僕はそのナターシャの素晴らしい提案を実現すべく、女性陣に、試しに一度やってみてよ!試しに!本番ではやらないからさ!試しにッ!一回ッ!そのポーズをッ!してよッッ!!とスマホのカメラをスタンバイして訴えると、セクハラが酷い、これがパワハラか、いやモラハラだ、何かしらハラスメントだ等の非難を豪々に受け却下された。

なんだこの女は!女達は!腹立ってきた!さっさと脱げよッ!わかってんのか??これは劇だぞ!?だから脱げ女ッ!ワシャ人間賛歌が見たいんじゃッッ!
何をお前らは筆者の意図を的確に読み取った上で巧みに笑える感じの演技をしとるんじゃ!!上手だな!笑わせなくていいから!パイ乙を出せよ!そんな面白い演技やられたら、負けてられないだろ!とこっちの演技にも力が入り、稽古自体は大変実りのあるものとなった。

 

 

 

…大変、遺憾である。

 

 

そんなチャラ劇『曖昧な口調』は三日間あり、もう一度言うが、やさしい雨は30、31日に出演し、計4度舞台に立つ。
会場のHANA REは狭い小屋であるのでもう売り切れている公演もあるものの、30日の17時の回はまだ余裕があり、31日の昼、夜はまだ少し席が残っているのでぜひぜひやさしい雨で予約の上、観に来てもらいたい。

まあ、先に謝っておこう。

 

 

ただ面白いだけのコント群で、ごめんな!