食、肉欲

今日はどうしても肉が食みたかった。食べたいじゃない。食みたい。いや喰らうか?
まあ兎に角、肉が食みたい状態。これは牛肉を指す。
鳥肉とか豚肉とかもちろん好きだし、豚肉が一番好きだけど時折ものすごく牛肉を食みたくなる。ありませんか?
さらに今回理由はハッキリしている。
先日のキャンプで僕は後発組だったせいでバーベキューには参加できず、残っていたパエリアだとかハッシュドビーフだとかの、米を中心にお腹を膨らませてくる作戦をとられていたので、肉をちゃんと食べていなかった。さらに「イカ美味しかったね」という話をしていたので「イカ?」と聞くと、そそくさとイカの話を切り上げられたくらいだ。


なので欲求が消化不良で肉を食みたい、食みたいとなってしまい、肉のことしか考えられず、人肉を食べないだけでもうゾンビというか、目の下の隈も凄くて、ゾンビ化した状態でスーパーへ。


ここで理性が残っていたなあ、と感じるのはお店ではなく自分で焼くことにしたことだ。
というのもこの欲求をお店で満たそうと思ったら、高額になるのは必至で、この欲求は質より量を、柔らかさよりも硬さ、つまり口の中のスペースを肉塊でパツンパツンにする事を求めている訳で、スーパーの安い肉で充分どころか、むしろそっちの方が良いのだ。


ゾンビ化してるのでう"ゥう"ゥ言いながら涎を垂らしてスーパー内を徘徊していると、丁度いい肉があった。
ステーキ用のアンガス牛、グラム183円で、900円ちょいなので500グラムくらい。贅だ。充分だ。


早速そのステーキ肉を購買しようと手にとるも、その横で味つきのカルビ肉がこちらをジトと睨め付けてくる。
あら~いいですねえ~。そちらも食べたいですねえ~ッ。となったが、どうだろうか?果たしてこの欲求は満たせるのだろうか?否、満たせないッ。
なぜなら、ペラい味つきカルビ肉では口腔内を満たせないからだ!枚数を重ねて口腔内を満たせばいいジャン!と言う人もいるでしょう。そんな方には馬鹿だなあと頭ポンポンしてあげましょう。

違うんだよ。塊で一杯にしたいの。何枚か重ねる感じだとサクッと噛みきれちゃうじゃん。噛めなくて噛みきれなくて飲み込めなくてウガククッてなりたいのだッ!!窒息して死にたい!くらいの気持ちで望んでいるのだ!嘘!嫌だ死にたくないッ!まだやりたいことある。豚肉も食べたいし、野菜も食べたいし、ゼリーも食べたいアイス食べたい。うわあ食欲ばっかだあ。ホントにゾンビ化してきたのかなあ。気づけば肌に緑色と紫色の斑点が浮かんでいる。動きもノロノロになってきた。ヤバい。


ササッと会計を済まし、家に。包丁で肉を叩いてブラックペッパーを軽くふり、フライパンに牛脂をひいて最初は強火で焦げ目を付けて、裏返して弱火にして蓋。ジュウジュウからチリチリ、ジジジチチチと、音の変化に耳を澄ます。この辺は僕は美味しんぼが日本の田舎巡りしはじめるまで読んでいたから抜かりない。僕の料理の知識の全ては、包丁人味平美味しんぼだ。おかげで岸朝子先生もびっくりの一流のグルメ人になれたのである。


さあ、焼き上がった。肉の上に玉ねぎをすりおろしたものに醤油を垂らしたソースをずべらとかける。
フォークとナイフで大きめに切り分け口に放り込む。

 

くわわわわぁ~ッ!!
これこれ~ぇぇッ!!

うわあ!すっげえ!美味くもないけど不味くもねええ!!これこれ~ッ!肉硬ぇ~!ほどよくレア~!肉汁迸る~!まあまあだなあ~!安い肉の味する~!これこれ~ッ!こんくらいがいい~ッ!!うっわ、うわうわ、ん~、飽きてきたあ~ッ!後半キッツウ!カルビ肉にしとけば良かった~!もう食いたくねえ~ッ!顎疲れてきた~ッ!まだあんのかよ~ッ!もうしばらく肉は食いたくねえ~ッ!

 


完食。