実家の猫

ささっと実家に帰る。
僕の実家では猫を飼っている。しょうちゃんである。
しょうちゃんは保健所から母がもらってきた猫で、もらってきた時にはもうしょうちゃんという名前がついていた。なので、しょうちゃんである。雄である。

彼は雑種だけど、彼を見た人は高貴な猫だと思うだろう。まずデカい。肥っている訳ではなくて骨がデカい。手がデカい。耳もデカいので子供のころはキツネっぽかった。
そして茶とらだけど、そういう品種が祖先にいるのか毛並みがブワッとなっていてライオン感がある。そして尻尾がスラリと長い。この長い尻尾が一番のチャームポイントだろう。

性格としては、気が強い。何か粗相をおかして、こちらがコラと叱ると、こちらとの距離感を伺いながら机の上に置いてあるものを手で押して床に落としてから逃げるなどする。しかしどんなに怒って噛みついてきてもあまがみ。という優しい一面を持っている。
あと、さっき食べたはずなのに、いやご飯もらってませんよ?みたいな嘘をつく。もらってない時の粘り方と執拗さを知っているので、嘘つくときは10分くらいしか粘ってこないのでバレバレなのです。バレバレの嘘をつく男なのです。


そんな彼ももう13歳。人間でいうと68歳ですって。ジジイじゃねえか。

昔は仲良しでしたが、今はなんか距離感があるというか、まあ仕方ないのですが、ソファで座ってても膝の上には来ないし、座らせてもひょんひょん跳びどこかにいってしまう。抱っこしたら抵抗はしないものの嫌な顔するし、ひっくり返してお腹に顔を埋めるのもそんなに抵抗はしないけど後ろ脚をややつっぱったりしてくるので顔を見ると無の顔になっていたりする。それが少し寂しい。
名前呼んでももう来ない。チラとこっちを見て尻尾を振るなどするのみ。哀しい。
テレビ見てて番組が終わったりCMに行った時などに、しょうちゃあんんなどと叫びつつ呼ばい撫で撫でワシャワシャなどすると、気持ち良く寝ていたのに信じられない。去ね。といった顔をする。辛いことです。

しかし、なんとも愛くるしい寝顔。近くで見てると寝息で口の端がぷかーと開くのも可愛い。人間並の鼾も可愛い。猫も寝起きは息くさいの可愛い。そしてジジイらしく寝起きヨボヨボなのも可愛い。

 

このように僕は猫が好きなんですけど、たまに猫派?犬派?みたいな話題がありますけど、僕は基本的に動物が好きなので犬も好きです。
ただ猫に比べたら臭いしうるさいというだけの話で、あと散歩しないといけないから手がかかるし躾も面倒だし、ホラ噛まれたら洒落ならん怪我するでしょ犬は。引くよね。正直言って。それにやっぱ賢いから。そこが良いと言う人もいるかもしれないけど俺はそこが嫌だよマジで。冗談キツイっす。ある程度馬鹿な方が可愛いよね動物は。そうなると猫の方が可愛いだけで、別に犬も可愛いと思いますよ。それに犬は愛情表現でスゲー顔面を舐めまわしてくるじゃん臭い唾液のくせに。あれはマジでないし、精神的にも肉体的にもベタベタし過ぎで、そのスキンシップこそが心底嫌で最も嫌悪が進む行為だというだけで、犬自体は好きですよ。ただやっぱ臭えんだよ犬。犬はよ。臭えってことは汚ねえってことだからな犬オイ犬。それに比べるとやっぱあらゆる面で猫のほうが優れてるだけなんだよねペットとして。
だからって、そういう理由で猫が好きな訳じゃないんですよハイ。そんな合理主義じゃないんですよハイ。ただ猫が好きだよね最早。なんかね、もうね、愛される為のフォルムと所作を神から与えられているよ猫は。だから猫の方が好きなだけで別に犬も好きですよ。
犬好きなやつは猫嫌いなやつ多いですけどね。
猫好きなやつは犬好きなやつ多いと思いますよ。臭えけど。我慢するし。大人だから。
あと馬鹿な犬って何が楽しいんだか知らねえけどすげえ吠えるじゃんあれは笑っちゃう。笑っちゃうよねあの目は。吠えるの止められない時の犬の目ウケる。猫はあんな目しないからね。あんな目はね。