咖喱探訪記

前回、下北沢に来たときにカレー食べようとしたけどお腹すいてなかったから食べなかったので、今日は食べようと思ってお腹をすかしてきた。奴隷か。
ライブには入り時間というものがあって、尋常なライブなら開演の一時間くらい前なのだけれど、今日のライブは二時間半前という狂気の入り時間なので冗長な待ち時間があるが、カレーを食べるには最適だ。

 


【咖喱探訪記~其の壱~】


『ポニピリカ』

ポニピリカは昔から下北沢で有名なスープカレーのお店だけどなぜか行った事がなくて、本日はじめて行ってみた。

1階が居酒屋というか、バル的な何かで若い女性で賑わっていた。その脇にある階段で二階へ。でかい渋めの茶色い板一枚だけど重厚。みたいなドアーを手で引き開いて中に入ると、ムア~ッと湿った空気。中は暖房を相当に利かせているのかとても暑かった。
その瞬間に僕は、あ、この店美味いな、と思った。
すぐにお冷やを店員さんが持ってきてくれて、そのコップが鉄製でお冷やも冷たくて、この暑い店内に掌でも冷たさを楽しめるというか、カレーにおいて温度と水の関係性までちゃんと気を配っていて再び僕は、あ、この店美味いなと思いました。
カレーなんぞは暑い空間で汗かきながら食べるのが美味いんじゃ!!という想いがあって、もう好きになりそうでした。
店内の内装はエスニック風というか、何ていうんですか?ああいうイキフン。アジアンテイストみたいな。別にアジア風ではないんだけど。ガチャガチャとした小物が乱雑に、その実、計算されたいい感じに設置されていて、でも落ち着いたイキフンというか、それがどこかいい意味で猥褻というか。全体的に赤茶色い店内にかかるBGMも落ち着いた感じでした。

テーブル席には時間が夕食時には少し早いものの、既にアベックや女子数人が座り埋まってる感じで僕はカウンター席に。
さて、メニューをみますと各種カレーがありまして、目についたのはエゾジカハンバーグカレー。こら美味そうだ。鹿を食みたい。しかし1600円。ライブ後ならいいけれど今はライブ前。ライブ前に食むボリュームと値段じゃないかなあ、とやめてオーソドックスな野菜とチキンのカレーみたいなものをオーダー。
注文はテーブルに置かれたアンケート用紙みたいのに記入するスタイル。
カレーの種類がいくつか並び、カレースープの味がトマト、和風、エビ(+100円)から選択出来て僕は和風を選択、辛さを8段階くらいから選べて4を選択。辛くしすぎると追加料金。4は+50円くらいかな。他にもトッピングなどを随意に選べたりして、これを店員さんに渡す。

鹿いきたかったけどいけなかったので、意図的に馬鹿みたいな顔をして待ってたら、割りと早く来て焦りました。

第一印象。カレーのルックスが良い。
カレーにも性別があると思うんだけど、ポニピリカのカレーは店内のイキフンで女性っぽいかと思ってたけど、僕はそのカレーから男性を感じました。ポニピリカのカレーのルックスとしては松坂桃李さんをイメージしていただければ分かりやすいと思います。

具は真ん中にデンと皮がパリッと揚げられた骨付きの鳥。その周りに沢山の素揚げされた野菜達。南瓜、牛蒡、オクラ、蕪、ピーマン、ブロッコリー、茄子、スイートコーン、じゃがいも、人参、蓮根、あと僕はカレーに入ってる馴染みがなくて新鮮に感じた薩摩芋、それに豆類、コーン、他にも何か入ってた気がするけど、盛りだくさんの野菜に黒ごまが沢山ふりかけてあり、あと、これもカレーには珍しい木耳が入っていて大変美味でした。お米も硬めに炊いてるのか、そういう品種なのか、玄米的な感じのもまざっていて食感もいいしスープにも合うし、最高でした。

とはいえ、最初に口にしたのはスープでありますからその一口めの感想は「あ、好き」でした。ここまで読んで、コイツ感想「あ、好き」ばっかじゃねえか、全然伝わらねえよ、と思った方、ご明察。その通り。僕はもうこの店を好きになっているので、なにが起ころうが好きなんですよ。
スープカレーなんていうものは、僕はインド風おでんと解釈しているのですが、スープの味を和風にしたことで益々インド風おでん感が増し、大変おいしゅうございました。と岸朝子先生風に心の中で独り言。
鳥ですが、これ炊いてから揚げてるんですかね。骨なんぞも簡単にとれて、皮がパリッとしてるのに肉はホロホロで食べやすくてとても良かったです。

食べてみて思ったのが、カウンターではなくて、テーブル席でゆったり食べるべきカレーだなと思いました。つまりちゃんとしたDINNER。とにかくポニピリカ美味しかったです。

ただ、ひとつ言わせてもらえば、帰り、伝票などはなくてそのままレジに向かうのですが、他のテーブルの伝票を間違えて、それが中々見つからず、店員の女性がわたわたしたりして、ドジで可愛かったですね。

みなさんも下北沢に来たらスープカレーの老舗ポニピリカへどうぞ。

【了】

 

 

美味しいカレーを食べて満悦した僕はライブ会場の楽屋に戻ると、ゴールドラッシュの田邊さんから「なんかカレーの匂いさせとる奴がおるのお」と関西弁で凄まれて、ポニピリカでカレー食べてきたんですよと説明。すると記憶にないのだが、以前僕は田邊さんからポニピリカが美味と薦められていたらしく、彼はやたらとどうだった?どうだった?と尋ねてきて、僕は大変美味でした。と言うと、まるで自分がオーナーかの様な得意顔で頷きながらせやろ、せやろ等と譫言をぶつぶつ言うので、僕はそれを見て、あ、コイツは一度鍋で煮込むしかない。と思いました。
元来悪い人ではないのですが、彼はすぐに得意顔になって鼻の穴を拡張する癖があり、そういった悪癖を大きな鍋でコトコト煮込むことによって、灰汁として抽出、排除しなければ今後も社会生活を送る上で気苦労が計り知れないので、僕が一度心を鬼にして実際に鍋で煮込まなければいけないなと感じました。善意で。

そんな気持ちから、下北沢のスープカレーといえばマジックスパイスとポニピリカが二大巨頭としてそびえ立つイメージがあるのですが、最近はそうでもないらしいというか、正しくはその二店舗は殿堂入り的なイキフンで今さらメディアで紹介しないという感じだと思うのですが、今下北で勢いのあるスープカレー屋!みたいのをテレビで見た事があり、その時は違う店舗でした。その情報をポニピリカで得意顔にしてる田邊さんに伝えると、孫が交通事故起こしたみたいな顔をして「そうなん…」とショボくれてしまいました。ご自慢の巨大な陰茎を銀銀にしていたのが最早、萎え萎えで御座います。

そこで、じゃあどの店舗が今熱いのか?という話に当然なり、僕は前にテレビで見たお店の名前なども忘れており、スマホで検索しているとひとつのお店が目についた。

 

【咖喱探訪記~其の弐~】


『SAMA』

はい、なんと初日にして二店舗め!
上記のような経緯からライブ終わりに赴こうという事になり、約3時間後。
僕は全然お腹が空いてなかった。なんならまだお腹はいっぱいで、ゲップするとカレーのスパイスが香るほどだ。

店の場所をスマホにナビしてもらいながら、下北沢の街を田邊さんと歩いていると、店仕舞いをしている店舗が沢山目についた。22時ともなれば古着屋や美容室などは確かに仕舞いの時間であろう。僕は地図が読めない質なので少し道に迷い、曲がったことのない路地などでは、閉店後に腕の鍛練に励む若人で一杯の美容室などが外から見えたり、そういったお洒落なイキフンの路地に田邊さんは「小洒落とるのお」と大阪弁で悪態なのか羨望なのか解らぬ独り言。僕に確実に話しかけていたけど独り言と判断した。田邊さんも特に何も言わなかった。少し悲しい気持ちになった。

そして道に迷いつつも無事にSAMAについた。
白い壁に明るいオレンジの照明。店内も白を基調とした簡素で明るく親しみ易いというか、こちらは随分とヤングな印象を受けるというか、まあ「ヤング」という名のカレー屋さんも下北沢にはあるのでややこしい表現ですびませんが、それとは関係なく随分とヤングな店という感じだった。店内のBGMもややうるさいというか、ヤングな感じでした。

閉店間際なのに、そんなに広くはない店内には5組程のお客様がいて繁盛している感じがプンプンしたぜ。

さ、ここもスープカレーのお店で御座います。
田邊さんはひき肉のカレーを頼み、僕は野菜と鳥のカレーを選ぶ。
本当はこんなことしたくないけれども、ついさっきスープカレーを食べたばかりなので、どうしても比べてしまう。どうせ比べてしまうならちゃんと比べようと思い、僕は野菜と鳥のカレーにしたのです。
マジで比べるのはよくないですね、元カノと比べられるのが女性は一番の屈辱だ、なんて聞きますものね。

そんな後ろめたさから、僕はスープの味は変えた。
というのも、こちらのお店もカレースープの味が五種類から選べて、田邊さんも僕もクリーミー海老味を選択。
選択してから、全然腹減ってない、なんなら満腹なのを思い出し、クリーミー海老味なんて非常にheavyそうなものを誂えてもらおうとしている訳で、全部食べれるか不安だった。

そんな僕の不安をよそに田邊さんはと言えば、今の店員さん可愛かったね、下北沢だし役者さんかな?あ、バンドマンの可能性もあるか、などと女性店員さんの美醜ばかりに拘泥し高笑い。僕は辟易した。確かに美しかったし、スタッフ募集の貼り紙が店内にあり、あ、ここで働いたら彼女と知り合えるのかーとは思ったし、一応この店の電話番号控えておくか、それとも直載に彼女の電話番号聞いてやろうかしらん、と思うくらいには美しかったけど、そんなに大きい声で言わないで下さいと思った。もう殴って口を塞ぐしかないと思い腰を浮かした時に丁度カレーがやってきて事なきを得た。


ルックスは果たして、よしでありました。
ポニピリカに比べると、豪快というか、ここにもヤングな感じがうかがえる。中央にドンと骨付きの鳥。周りに野菜。
正直に言おうか、うん。正直に言うぞ。同じ様な類種といえど、ポニピリカよりは大分野菜の種類が少なくて少し落胆した。そのぶん鳥はやや大きめ。

性別だけども、僕はここはその豪快さとは裏腹に女性を感じた。まだヤングな女性。肉感的なグラビアアイドルというか。大原優乃さんを想像していただければ分かりやすいかと。

さて、味はいかに。
スプーンを手に取ると、HUNTER×HUNTERのベンズナイフみたいな形状でお洒落だった。ナイフを手にとり、この形状、毒か?などと思った。それはさておき味。

ひとくちスプーンで掬い口に入れる。あわわわわわー!!あわ、あわ、あわわわあわあわあわー!!あわわ、あわわ、アワアワあわわわあわあわあわー!あわわわあ、わ、あ、わ、あわー!

激・烈・に・美・味!
クリーミー海老味の名の通り濃い海老の味。しかしちゃんとカレー。しかも僕は辛さ10にして注文したにも関わらず、この海老の味の濃さ!こんなに美味いかね!!しかもしかも、僕はお腹一杯な上、しかもしかもしかも本日2度目のスープカレーな訳で、さっきまで食べれるか不安などと戯けたことを言っていたのに杞憂も杞憂。あっさりと完食。そんな僕でこんなに美味いなら、本日一度めでさらに腹ペコの田邊さんはどんなに美味さを感じているかと顔をあげると、もう涙ちょちょぎれて、鼻水なんかも垂らして涎どばどばの何とも美味美味しいガッツき具合で、美味い美味い。好きだ。また来るなどと完食する前から宣言。それには同意だが、とにかく美味美味しく食うので何か悔しかった。

最後の一滴までスープが美味い!と器をベロベロなめていた。分かる。

さらに「この野菜の素揚げしたやつの油が美味いわ。油いいの使ってるわ」と言った。

僕は、あ、これは関西人特有の油を誉めるやつだ。と瞬時に見抜き、田邊さんのコメントに肯首しきりだった僕も流石に首を傾げた。
というのも、関西人は調理している油に着目することで我は食通なんやでと誇示しがちというか、油誉めとけば通だし店側も喜ぶと思っていて、僕がそれを田邊さんに指摘すると「関西人 ちゃうわ」と関西弁で否定していた。

ま、とにかく篦棒に美味だった。

肉のホロホロ感、野菜の処理と種類の豊富さ意外さ、店のイキフンはポニピリカの方が上だと思う。
SAMAのライスは普通のお米だったし、全体的なイキフンもヤングだったのですが、ことスープ、カレーの味のみで比べた時にはSAMAの方が上だと感じました。

総合的に考えてドローッ!!ぴったりドローなのでありますッ!!

田邊さんがご馳走してくれたので、殴らなくて本当に良かったなーと思いました。

【了】

 

なんと、初日に二軒行くとは思わなかったけど、シリーズ化して時折やりたいと思います。
美味しいカレー屋さんがあれば薦めて下さい!